大腸ポリープの症状と原因。全てが大腸がんになるわけではないの?
大腸や直腸の部分にできる大腸ポリープ。痛みや血便などを伴うこともあれば、自覚症状がないこともあります。しかし、大腸ポリープのなかには悪性腫瘍(がん)があり、放っておくとがんが進行してしまうため、早期に検査をしてポリープを発見することが何よりの予防になります。
今回はこの大腸ポリープについて説明したいと思います。また、大腸ポリープの治療法やがんとの関連性についても解説していきます。しかし、結論としては大腸ポリープができるメカニズムは詳しく解明されていないため、早期発見をして切除し、定期的な内視鏡検査で、ポリープの有無を確認することを当院ではおすすめしています。
大腸ポリープの症状
まず、大腸ポリープは、名前の通り、大腸や直腸といった部位にできます。このポリープには大きく分けて、良性(腺腫)と悪性(がん)に分けられます。良性だからといって必ずしも安心できるか、というとそうではなく、わずかながら、将来的にがんに変異する可能性もあります。
男性女性問わず30歳以上になると検査で見つかることがあるものの、自覚症状がない場合もあるため、30代を超えて定期検診を受けてみて、初めて気がつくことが多いです。基本的には内視鏡検査によって、医師が腸壁を観察することでポリープを確認します。
症状としては、腹部の痛みが出る可能性がありますが、これは全ての方に起こるわけではありません。腹部の手術経験がある方は痛みが起こりやすくなります。また、血便が起こった場合はポリープを疑い、内視鏡検査で直接確認をします。しかし、痛みや血便などの明らかなサインが出るのは、ポリープがある程度大きくなってからであることがほとんどです。そのため、繰り返しにはなりますが、ポリープを早期で発見するには定期検診が最も有効な方法ということになります。ポリープが悪性腫瘍(がん)の場合は、速やかにがんの検査を行います。
大腸ポリープの原因
それでは、大腸ポリープができる原因はいったい何なのでしょうか?喫煙や飲酒、脂っこい食事などが原因と考えられるかもしれませんが、実は大腸ポリープができる根本的な原因は分かっていません。だからこそ、ポリープは年代や性別を問わず、できる可能性があるのです。一度ポリープが見つかった方は、体質的にポリープができやすいと考えられるため、1年おきに内視鏡検査を行うことが好ましいです。また、大腸ポリープは遺伝的な要因はあまりないと考えられています。しかし、大腸がんに関しては、親族に大腸がん患者の方がいらっしゃる場合は、定期検診を行って、腸内検査を行うようにしてください。
ポリープは年単位で少しずつ大きくなるため、気になる方は定期検診で内視鏡検査を行うようにしましょう。
大腸ポリープとがんの関係性
記事をご覧になっている方で最も気になるのが、「大腸ポリープが悪性腫瘍だったらどうしよう?」ということではないでしょうか?
内視鏡でポリープを見ただけで、がんと診断することは難しいため、まずはポリープが見つかった段階で切除を行います。その後、切り取ったポリープを検査することでがんかどうかを判別します。
データによると、日本人の大腸がん患者は年々増えてきていると言われています。検査技術の発達や定期検診を受ける方が増えてきていることも影響していますが、年間に10万人以上の方が大腸がんと診断されており、もはや国民病の一つになっています。反対に、ピロリ菌の除去治療の進歩などもあって、胃がんは少しずつ減ってきています。
大腸がんは、がんの中でも罹患数も多いのですが、早期発見により臓器転移を防ぐことも可能なので、治る可能性は十分にあると言えます。それだけ
に、悪性腫瘍の可能性もある大腸ポリープを早めに見つけて、切除しておくことはとても重要なのです。がんが進行してしまうと、他の臓器に転移する恐れも出てきますし、腸閉塞と呼ばれる、腸が詰まってしまう状態にもなりかねません。こうなると命に関わってきてしまいます。大腸ポリープは先ほど説明したように、明確な自覚症状を伴わないケースがほとんどなので、やはり、早めに大腸の検査を行っておくことは非常に大切なのですね。
普段、便秘や下痢に悩むことがない方にそれらの症状が出てきた場合は、一度、専門医を受診してください。症状が出てきたということはある程度、ポリープの肥大化が進んでいるということなので、一刻も早い対応が必要になるということを覚えておいてください。
大腸ポリープの手術と費用について
それでは、大腸ポリープが内視鏡検査で見つかった場合はどのように手術を行うのでしょうか?内視鏡でポリープが発見された場合は、内視鏡の内部から切除器具を通して、その場でポリープをワイヤーで囲み、熱を加えて切除します。(もちろん、ポリープの切除は人体に安全な方法で行なっております。)
痛みを心配される方が多いかもしれませんが、内視鏡検査の前には痛みを和らげるために鎮静剤を投与します。また、当院では、内視鏡専門の資格を持った医師が検査や切除を行っています。内視鏡検査の時間は15分ほどと長時間には及びません。手術後もそのままご帰宅いただけるので、基本的には入院の心配はありません。
しかし、ポリープが腸壁に潜り込んでいる場合は内視鏡検査時に切除するのが難しいため、入院しての手術が必要になります。
ポリープの種類や手術の方法にもよるので、一概に大腸ポリープ治療にかかる費用をお伝えすることは難しいのですが、通常のポリープであれば、検査時に切除をしてしまうため、おおがかりな治療にはなりません。また、特に症状がないが内視鏡検査を受ける場合と、症状があり検査を行うのとでは、保険が適用できるかどうかが変わってきます。そのため、まずは専門医に相談をするようにしてください。
内視鏡検査や切除の安全性はどうなのでしょうか?一般的に身体にかかる負担は少なく、治療を受けた当日にそのまま帰宅することができますが、ごくまれに切除などの治療により穿孔(せんこう=穴があくこと)が起こる可能性もあります。あくまで可能性があるというだけのお話で、通常であれば心配をする必要はありません。しかし、こうした注意点については担当医の説明をしっかりと受けるようにしましょう。
「もし、ポリープがあったら入院しなければいけないのでは..?」と身構えてしまわず、検診を受けていただければと思います。なお、便潜血検査などによる診断もありますが、ポリープの有無や状況を正確に判断するためには、やはり、直接ポリープがあるかどうかを確認できる内視鏡検査を行うことをおすすめしています。
まとめ
大腸ポリープについて解説しました。いかがでしたでしょうか?まだ大腸ポリープができるメカニズムは良くわかっていません。また、ポリープができる可能性の高い特定の世代や性別はないため、誰しもが自分でできる健康管理を維持することも大切です。食習慣の乱れや喫煙、過度の飲酒は消化器に大きなストレスをかけてしまいますし、大腸ポリープの直接の原因にはならないにしても、胃潰瘍やその他の疾患を引き起こす可能性を高めてしまいます。
そして、大腸ポリープには自覚症状があまりないケースが多いという点も要注意です。また、腹部の痛みや血便が出た場合、既にポリープが肥大化している可能性もあります。まだ、大腸がんの場合は進行が進むと、切除手術だけでは対応できなくなってしまいますし、その後の生存率にも関わってきます。
大腸ポリープの予防は難しい以上、定期的な内視鏡検査で大腸の様子を見てもらう必要があります。痛みをできるだけ抑えることにこだわった当院の内視鏡検査を、ぜひ一度ご検討ください。