血便の原因はストレス?性別や年齢、症状別の原因
「ある日、いつものようにトイレに入ったら、便器に血が…。」血便が出た際には早急な検査と治療が必要です。今回は血便の原因について解説していきます。また、ネット上で散見される「血便とストレスの関係」についても説明しています。
本記事を参考に、気になる方は自己判断をせず、早めに専門機関での診療を受けましょう。
血便の主な原因
それでは、血便の原因とは何なのでしょうか? その前に血便とはどんなものを指すのかを知っておきましょう。
よく血便と下血(げけつ)が混同されて使われていることが多いですが、これは出血が起こっている箇所の違いによって変わります。血便とは一般的に大腸などからの出血を指します。これに対して、下血とは胃などの消化管から出血が起こっている場合に起こります。黒く固まった便も血が固まったものであれば、下血と考えられます。
しかし、便だけを見て何が原因かを特定することは医師にとっても困難なため、内視鏡検査などによって出血の原因を調べていきます。
・ストレスは原因になる?
強いストレスが血便を引き起こすことはあり得るのでしょうか?結論からいって、ストレスが直接、血便の原因となることは考えにくいです。しかし、強いストレスや生活習慣などで胃潰瘍を発症した場合、胃からの出血が起こりえます。この場合は黒色便が出ることもあります。
・痔と血便の関係
血便の原因として、まず考えられるのが痔です。痔のほかに、ポリープが原因となって出血が起こり、それが便に混じっている可能性が考えられます。この場合は、痔やポリープの治療によって改善されていきます。
実は、痔は日本人の3人に1人は持っているといわれる病気です。この数字に驚く人は多いかもしれませんが、年齢や性別関係なく、痔は誰にでも起こりうる病気です。自覚症状がない人であっても、血便を機に、病院で検査を受けたら、「実は痔だった。」ということもあるのです。
血便は男性・女性・子供で原因や症状が違う?
血便の一般的な原因は、痔やポリープということが分かっていただけたと思いますが、ほかにも血便の原因となっている病気が隠れている場合もあります。
それでは、性別や年齢によって、血便の主な原因は変わってくるのでしょうか? とくに子供の血便は親御さんも心配になることでしょう。男性・女性・子供に分けて、考えられる原因についてみていきましょう。
・男性・女性の血便の原因と症状
とくに男性と女性によって血便の原因となりうるものに大きな違いはありません。しかし、女性の場合は妊娠中や産後に、血流が悪くなることによって痔ができやすくなります。妊娠中は子供の成長ばかりにどうしても気がいってしまいますが、お腹が大きくなるにつれて腰やお尻周りの血流は阻害されてしまいがちです。妊娠中は母体にも大きな負荷がかかっている状態なので、血便が出たり、お尻の部分に痛みを感じる場合は早めに医師に相談するようにしましょう。
・子供の血便の原因と症状
心配になってしまうのが子供の血便です。痔というと成人にできる病気と思いがちですが、子供でも痔ができてしまうケースは多いので、痔が原因で血便が出ている可能性を疑います。そのほか、まれではありますが、ガンピロバクターなどの細菌による食中毒が原因で血便が出ることもあります。
症状別、血便の原因
血便が出た時には、血便が出ること以外に、痛みを伴うなど、なにか別の症状が出ていることがあります。血便が出た時、そして、その前後にどんな症状があるかに着目し、問診の際には医師に自分の症状をできるだけ詳しく伝えるようにしましょう。
下記に血便と併発することが多い症状を記載しました。それぞれにどのような病気が原因で血便が出ているかをみていきましょう。
注意したいのは痛みを伴わない血便です。痛みを伴わない血便、あるいは下痢のような血便が続く場合は、がんなどの病気も視野に入れて検査を行います。
いずれにせよ、自己判断は禁物です。血便は身体からの不調を伝えるシグナルだということを認識し、早めに肛門科もしくは内科を受診しましょう。
・鮮血が出る場合
赤い血が出てくる場合は、まず痔やポリープがないかを検査します。出血が少量の場合は外来での治療対応をしますが、出血が多い場合は入院しての治療が必要になることがあります。
・腹痛がある場合
腹痛がある場合は腸で炎症が起きていないかを検査します。また、がんの可能性なども視野に入れて検査を行う場合があります。また後ほど紹介するような潰瘍性大腸炎が原因で血便と腹痛が起こっている可能性もあります。
・痛くない場合
血便が出るのに痛くない場合は、がんができていないか検査を行います。がんが進行している場合に血便が出ることがあるため、早期での治療が必要になります。
大腸がんは良性のポリープからがんに変わることもあります。またがんが進行すると大腸の壁の中にも広がっていき、リンパなどに転移して全身に広がる可能性があります。 大腸がんは主に、内視鏡検査などで腫瘍を発見するほか、便の検査(便潜血検査)によって診断をします。
がんは早期発見ができるかどうかが重要です。とくに女性の場合は、がんで亡くなる人の中では、大腸がんが一番多いという統計結果が出ています。(厚生労働省調べの「平成28年人口動態統計(確定数)の概況による」)
・下痢を伴う場合
下痢っぽい便に血液が混じっている場合は、下痢が続いている期間によって、原因がなにかを探っていきます。下痢が突発的におこった場合は潰瘍性大腸炎を疑います。
潰瘍性大腸炎とは、近年、症状を訴える人が増えてきている病気で、食べたものの水分を吸収し、便をつくる働きをしている大腸に炎症が起きる病気です。
明確な原因はまだ分かっていませんが、食習慣や喫煙などが関連していると考えられています。症状が進行すると、下痢のほかに腹痛が起こるようになります。発症する年齢は男女ともに20代が多いといわれています。
潰瘍性大腸炎が見つかった場合は、食生活の改善指導を行います。特に日本の若年層は食事が西欧化しており、それが原因で消化器官にトラブルが起こるケースが増えてきています。根本となる原因を解決するためには、食生活の改善や運動など、患者さん自身が自らの生活を見直すことが大切になります。
まとめ
今回の記事では血便の原因として考えられる病気について解説をしました。いかがでしたでしょうか?血便の主な原因は今回紹介したように痔やポリープが考えられます。
しかし、痔が原因だと思い込んでしまうのは要注意です。今回、ご説明したとおり、血便の原因ががんであったり、消化器官の病気である可能性も否めません。
また、血便とストレスの関係性について、ストレスが直接の原因となることはなくても、ストレスが胃などの消化器官に悪影響を与えることがあります。そのため、食生活の見直しはもちろんですが、ストレスを溜め込みすぎず、運動や睡眠を適切に取り入れることは大切です。
病院で、問診などに加え、精密な検査を行うことで早期に隠れた病気を発見できる可能性があります。また、定期検診を受けておくことで、がんなどの死につながる可能性のある病気を早期に発見することができます。
気になる方はぜひ、お早めの受診をおすすめします。